平行世界のOntologia

著 : 柊 純

Act09:鈴鳴のバサラ


「これ、新種じゃない?攻略方法とかもまだ分かってないような」

 セシリーが鱗を剥いで、既存の知識データベースを見ながら感心したような声を上げる。

「サンダーブレス使うのは居るけど、巨竜種では見た事はないよね。色も新しい。赤いのと黒いのは見た事あるけど、青いのは初めてかなー」

 タクヤも鱗を剥ぎ、カバンに突っ込みながらコメントを返す。

 モンスターベースの金属素材は、鍛冶以外の加工が基本になる。売る先を間違えなければ、新素材は鱗一つで数万の値段が付くだろう。持てるだけ確保して、大きな町で売却すればかなりの金額になりそうだ。

 黙々と剥ぎ取り作業を続ける中、ミシェルだけは考え事をして座っていた。

 タクヤに二回目の攻撃が当たり、再度ワイバーンの前足が持ち上げられた時、何かがカチリとはまる様な音がして見知らぬ感覚を得たのだけが印象に残っている。

 通常人間が持っていない別の何かが動き、巨体を締め上げたような、そんなイメージが強い。心を込めて歌ったような、精神的な働きがあったと思うのが一番近いかもしれない。

 バグではない。行使したミシェル本人には、それだけは間違いないと言える。

「元々瀕死だったとか、バグで倒れたんじゃないと思います。確かに何か私がやった感覚が残ってるの。記憶に焼き付いてるの」

「でも、そんな仕様って聞いたことないし、・・・なんだろね」

「タクヤさんも無事だったし、それでよしとしましょうか」

 苦笑いするセシリーに、併せてミシェルも笑って返した。

「そう言えば、ヒデさんは?」

「置いてきちゃった。暫くしたら来ると思うよー」

 そう言ってケラケラ笑い出す。

 セシリーはあまりに美人に造られ過ぎていて、笑うだけで華になっているようにすら見える。少女風に造ったミシェルでは出せない雰囲気に、少し悔しい気持ちになっていた。

「カバンいっぱいになっちゃったよ。大物だから暫く残ってるだろうし、間に合ったら他の人達も呼んで来ないと!だね」

「そんな時間、多分ないと思うぞ」

 聞いたことのない声が、たった今まで誰も居なかった崖の方から発せられる。タクヤとミシェルが振り向き、セシリーは長刀を抜いた。

 青い軍服を着た銀髪の男が、腕組みをして立っている。

 腰に刀を下げ、その刀からは鈴の音のような音が鳴り続けていた。

 セシリーとタクヤは、東方に鈴の音を鳴らす武器を持った盗賊王が居る話を、数年前に噂で聞いたことがある。

 戦いを挑んで勝って帰った相手が居ないこと、襲われて逃げられた者が殆どいないこと。一人歩きしていた噂かもしれないが、少なくとも、直接やり合った者は

「勝てる気がしない」と言ったそうだ。

「鈴鳴のバサラさん?最近名前聞かないと思ったら、青竜に所属してたのね。権力に屈して盗賊廃業?」

 セシリーが刀を肩に乗せる。

 素早さでは負けないと自負しているが、まだ一度も戦闘経験のない相手である。どうなるかが分からない。

 いつでも動けるように軸足のヒザを曲げた。

 バサラが刀を抜く。鈴の音が空間全域に伝わり出し、音が何もないところを反射しながら音色を奏でている。見失うと二度と追えない可能性がある。

「三対一よ。もうすぐソーサラーも加わるわ。あなた一人でしょ?一度帰ったほうが良いんじゃない?」

「大丈夫だろ。楽しめよ」

 バサラは正眼に構え、切っ先をセシリーに合わせた。派手さがなく、落ち着き払っている。下手に構える相手よりも隙が感じられない。

 ピタリと止まり、動かない。まるで石像のようにも感じられる。どこからでも斬り掛かれそうなのにも関わらず、どこから斬っても弾かれそうでもある。

 まず、セシリーが動く。

 間合いは広い。精密な角度調整と威力を両立した兜割りが先に発動される。バサラはサッと身を横に移動させて避け、一度まばたきするほどの時間で自分の間合いに入った。

 その間に刀は天を突くようにして振り上げられている。

 兜割りは地面を裂き、その長い刃が深くまで食い込んだ。

 セシリーに大きな隙ができてしまう。

 バサラの刀の先端が稲妻のような速さで振り下ろされ、セシリーの肩口から腰の辺りまでを縦に刻むが、浅い。

 そのまま身体をひねり、蹴りを入れて方向を変える。足元から電撃が走り、セシリーの身体に帯電して麻痺させた。

 間髪入れない速さで、タクヤの居合いがバサラに向けて一閃するが、既にバサラの刀が斜め下から迫っている。威力はほぼ同じだが、バサラの次の攻撃が一瞬早く、タクヤの胸部に軽く拳が打ち込まれた。

 体力値がギリギリでゼロにならない程度まで減らされる。

 セシリーに使ったのと同じく、麻痺の属性があった。

 手加減すら精密過ぎて、セシリーもタクヤも実力の差に愕然とする。

「次はデコピンで死ぬぞ。そこで大人しく転がってろ」

 その一言に、バサラに自分達を倒すつもりがないことが分かる。遊んでいるのかもしれない。

 後は、まともに身動きが取れるのはミシェルのみ。エレノアの間合い詰めと同じ要領で移動し、左肩を狙って突きを繰り出す。

 接近は速いが、突く速度が遅い。ミシェルはそれを、身体を斜めに傾けてかわすが、刃が自分の方に向いており、引き際に斬られた。

 致命傷にはならない。

 その後、何度か斬りつけられるが、ギリギリのタイミングでそれを受ける。

 ミシェルはジリジリと後ろに下がり、防戦一方となってしまう。

 反撃が全くできない。

「そのワイバーンやった時のやつ、見せてみろよ。お嬢ちゃん」

 自分のした"何か"を、この男は見ていた。それがミシェルの心へ、針のように突き刺さる。相手が"何か"の正体を知っている。それが気になり、集中力を欠いた。

 受ける太刀が間に合わなくなりはじめ、少しずつ細かい傷が付けられていく。それが更に動揺を招き、斬られ続け、体力値がジリジリと削られステータスが赤くなっていった。

 後一撃でやられる。その手前で、バサラの攻撃は止まった。

「ダメだなぁ。どうやったら見せてくれるんだ?」

 剣先が眉間に当てられる寸前で、ピタリと止まっている。

 鈴の音が止まらず鳴り続け、刀から、赤く染まった冷気のようなモヤが流れ出していた。

「アレを見てたの?私には、何が起きたのか分からなかった。だから、残念だけど使い方は分からない。・・・諦めていただけます?」

 バサラは舌打ちすると、背中を向けてセシリーの方へ歩いて行った。

 麻痺して動くことのできないセシリーの首筋に、刃を当てる。

「お前、かなりこのゲームに依存してるだろ。例えばさー、この首が斬り落とされたらどうなる?そして、そっちの男も。こいつらのホームには、まだ俺の直属の部下が居る。飛んだらロストするぞ。この世界でここまで成長させたことの大変さ、分かるよな。こいつらのそれが全て消える。仲良いんだろ?」

 セシリーの首筋から一筋の血が流れる。

「どうするよ?一本飛ばしてみたら少し気分も変わるか?」

 大量の鈴の音が、響き渡っている。

 バサラの持つ刀は、本人の意思に応じて、その興奮の度合いを鈴の音の量に変えているのだろうか。

 それとも、血を欲して刀自体が勝手に鳴り響いているのだろうか。

 セシリーと初めて会った時のことがフィードバックされる。

 PK目的の盗賊団に追われ、逃げ道を失った時に現れた金髪の女剣士は、細剣一つで舞うように数人を圧倒した。

 今でも自分の目標であり、大切な友人であり、そして姉のような存在である。

 ミシェルの瞳に映るバサラとセシリーが、少しずつ小さくなっていくように見えた。

 疲れを感じた時のように、視界が揺れるような感覚。時は止まっているようで、見えているもの全てが静止しているような不思議な現象になる。

 バサラの表情に動きが出た。

 首でも絞められているような、苦痛に歪んだ顔になると、ジリジリと後ろに下がり、ヒザを付く。

「ありえねぇ、絶対防御を貫いて何かきてやがる・・・」

 額に手を当てながら、歯を食い縛るようにして立ち上がると、よろけながら崖の方へ走り出す。振り向きもせず、そして、落ちるようにして姿を消した。

 ミシェルの、緊張の糸がプツリと切れる。大きくため息を吐き、座り込んだ。


「ジンさん。何か降ってくる」

 ヴァンサンが呟いた。

 それを聞いて、登りかけの急斜面を見上げると、銀髪の青軍服が見えた。情けない叫び声を上げそうになったが、それより先に顔面で受け止めるハメになり、そのまま十数メートル先の地面まで墜落する。

 固い地面にヒビが入り、もうもうと土煙が巻き上がった。

「大丈夫っすか?」

 ラザールがサッと飛び降りてきて、ぶつかったソレを持ち上げる。

「うぇ、司令官かよ」

 持ち上げた青軍服の顔を見て、バツの悪そうな声を出す。

「ハゲ、お前の部下は分かりやすくて良いな」

 目の下を真っ黒にしたバサラは、今にも眠りそうな顔をしていた。システムがこの状態を表現するのは、脳の極端な疲労を意味している。

 何があったかは分からないが、先程までベストコンディションを保っていたであろうバサラは、確実に衰弱しきっていた。

 病人のようで、息が少し荒い。力なく身を任せる形で、何とか顔を見せている状態である。

「ハゲ、後は任せる。適当に追い回して撤退しろ。俺は限界だ。エマージェンシーコールが止まらねぇ」

 物理的肉体に何かが起きると、エマージェンシーコールが鳴る。ある設定温度に体温が低下したり上昇した場合や、外傷を得た場合。極端な発熱や疲労、長期間ログインすることによる栄養失調が主なトリガーである。

「撤退って、あの町占拠しなくて良いんですか?って言うか、どうしてそんな状態なんですか」

 そう問い掛けられたバサラは、ログアウトせずに既に昏睡状態に入っていた。反応がない。ログイン情報だけが残り、キャラクターがイザヴェルにいる状態。本人の意識は切断され、取り残されたキャラクターが居眠りをしている形である。こちらの世界に居つつ、ちゃんとした睡眠も得られる、設計のコアな部分の一つの売りだ。

「ジンさん。これ、殺っちまったら司令官じゃないですか」

「バカだな。どうせホームに戻るんだし、追っかけてもハイロウの拠点前だぞ。コイツのおっそろしい部下が何人か待ってるぜ?」

 ジンは、バサラの頭を抱えて拳でグリグリとする。動かないかつてのライバルは、まるで人形のようにピクリともしない。

 優越感と理性の、妙にバランスが取れた心境だ。

「面白いもんて、コレっすか?確かに面白いですが」

 続いてヴァンサンが下りてくる。顔が笑ってない。過去に何度か痛い思いをした相手である。憎悪の眼差しが、怨みを込めてバサラに注がれた。

「俺クラスのと戦ってるとこ、見たことないだろ?コイツがどんなレベルの男なのか、見せておきたかったんだよ」

「そっすねー、ジンさん、コイツ見ると必ずダッシュで逃げましたもんね」

 ラザールの皮肉に対して口をへの字にし、バサラを肩に担ぐと、ジンは来た道を戻り始めた。

「一旦廃教会まで戻るぞ。陽が出る前にはストーンブレッドに撤収する」


「松明の明かりが、全部こっち方面に向かってる」

 カヤが荷物をまとめ始めた。

「逃げるの?」

 エレノアが金属製のナックルを装備して、窓の外に目をやる。

 明かりはジワジワとこちら方面に向けて移動している。が、纏まりがない。散開している理由が取り囲むためなのか、正確な場所が掴めていないのかは分からない。

「ここに向かってるの?それにしてはバラ付き方が異常じゃない?セシリー達とここなら、南の方はないはず。場所はバレてないと思う」

「そしたら、全てこっち方面に向かってる理由は何かしら?ティムも戻らないし、色々と納得いかなくて」

 明かりの移動速度は遅い。とても目的地に向けて進軍する速度ではない。

「少し仲間を疑い過ぎね。自分が嫌んなる。ごめんなさい、二人とも」

「気にしてないよ。仕方ないって。私が同じ立場なら、一人ずつ締め上げてるだろうし」

「そういう立ち位置だし、逆に頼もしいよ。俺らがいつも気楽にしてられるの、カヤちゃんのお蔭だから。後、ティムはきっと、リアルで調べものでもしてるんじゃない?そういうとこあるし」

「ありがとう」

 エレノアもサラハも、笑顔で手をパタパタと振る。

 セシリーやタクヤ程ではないが、長い付き合いになってきている。改めて思い起こしてみると、他の面子よりも仲良くしてきた二人だ。カヤは、多少でも疑っていた自分に恥ずかしい気持ちになった。

 外に見える明かりの動きに視線を戻し、小さくため息を吐く。

 ぼんやり見ていると、林道に人影が見えたような気がした。

 夜行性のモンスターかもしれないが、システム上は建物に接近することはあまりない。

 明かりもなく、捜索している青竜の兵隊ではなさそうである。仲間の誰かであれば事前連絡があるはずだ。

「敵がきたかもしれない」

 窓辺から身を隠すように移動し、外への警戒は怠らない。

 本来の正式な拠点と違い、マスターがイザヴェルのシステムで登録するまでは普通の建物だ。登録情報からは足が付かないが、侵入に対する防御索はない。

 森のざわめきに、別の音が混じらないか耳を済ます。

 階下で扉の開く音がする。三人とも、階段の方に向き、武器を構える。

 ミシミシと、木製の階段がさえずる。小さく、それこそ気にして耳を傾けないと聴こえないほどだ。音は、この階の少し手前で止まる。

 サラハがダガーを片手に、階段の方へ摺り足で向かった。カヤも窓を離れ、階段へ向けてスゥと移動しはじめる。

「外っ!」

 エレノアの叫ぶ声が戦いの火蓋を切る。

 窓の外から、手足の長い男がカマキリのような動きで侵入してきた。

 壁を上ってきたのだろうか。

 武器は短刀だが、リーチが極端に長い。振り向き様にカヤが刀を振るが、掌一つ分足りない。しかし、エレノアの動きが早く、鋭い一撃がミゾオチを捕らえる。

 青い火花が飛び散り、フラッシュが光るように室内が照らされた。カマキリ男はかなりの巨体だが、一気に窓辺まで突き飛ばされる。

「岩でも殴ったみたい。かなり堅いよ。コレは私が相手するから、カヤは階段のを」

「分かった」

 そう言い、サラハの方を振り返ると、装束姿の少年が階段を駆け上って部屋の中へ躍り出た。クロスにした腕にダガーが突き刺さっている。

 サラハの姿が見えない。下の階から金属を叩き付け合う音が鳴り、下に移動したことを把握した。

 少年が、ダガーを腕から抜き、壁に向けて放つ。投げたダガーが見えない程の勢いで飛び、壁板に大きな亀裂が入った。

 手の内を見せるくらいに自信があるのだろうか、両手にクナイを持ち、手を肩に乗せるようにして構える。

 飛び込むには間合いが広すぎる。

 あの速度の飛び道具を避けるには、距離が無さ過ぎる。

 動くに動けず、急速に思考だけが回転しはじめる。

 目まぐるしく動き続けるスライドショーのように、何パターンかの自分の行く末が繰り返され、可能性の高いものが何枚かピックアップされる。

 相手は自分を確実に仕留める術を持っている。クモの巣に絡まった蝶のような気分だ。

 カヤは、首にから上に命中しなければ、数発耐える自信がある。その間にどれだけ相手にダメージをあたえられるか。

 カヤは、顔周辺を防ぐように刀を構えた。

 投げてこない。

 カヤの急所付近に間違いなく当てるため、隙を探っているのだろうか。もしくは、あまり考えられないが、投げられない理由があるのか。

 カヤは、少年が溜めている可能性を考える。どんなステータスが高くても、ダガーを投げるだけで壁板に亀裂は入らない。

(打って出ないとマズいかもしれない)

 身体を前に倒すように傾け、テーブルの下を走るような姿勢で自分の間合いまで床板を蹴る。クナイが放たれ、防御の隙間を縫うようにして飛んだ。まるでヘビのような気色の悪い動きをする。

 一本がカヤの右頬から耳までををざっくりと割り、もう一本が左肩甲骨の下に突き刺さった。

 そもそもの技が違う。

 少年は後ろに跳びながら数本のクナイを同時に放つ。数本がカヤの身体に突き刺さるが、浅い。

 間合いに入り、少年の喉下に向けて突きを繰り出す。

 少年は避けずに再度二本のクナイを投げる。一本が左目を抜き、もう一本は外れて頭部に切り傷を付けた。

 カヤの一撃は、少年の喉を首の後ろまで貫通している。

 少年は両腕を力なく垂らし、崩れた。

 いくら死なないからと言っても、そうそう使えない戦い方だ。

 カヤはクナイを抜き、投げ捨てた。

 視界が片方死んでいる。一度倒されて復活するか、高度な再生系の魔法で治さなくてはならない。

 現実世界と同様に、距離感が掴みにくくなっている。

 後ろを見ると、エレノアとその相手の姿がない。窓枠が大きく傷付いているので、外に蹴り出したのだろう。

 階段から下の階を覗き込むと、サラハが何事もなかったように上って来た。

「あれ、カヤちゃん大丈夫?左目」

「距離感がちょっと。戦うのは、後は任せたいかも・・・」

「治るまではちょっと危ないね。カヤちゃん強いけど、大事にしないと」

「強いって、あなたやエレノアみたいなの言うのよ。私は普通のプレイヤー。セシリーとかタクヤよりも全然弱いのよ?」

「そっかな?強いと思うよ。少なくとも、俺はそう思ってるけどなー」

 サラハはニコニコしながら剣を鞘にしまう。

 エレノアは現実世界で何度か会った事があるが、サラハとは一度もない。どんな人物なのかは分からない。その背景は全く分からないが、エレノアと同様に恐ろしく強いように見える。戦いの技術を持っているのか、システムを完全に理解して動いてるのか。

「エレノアはまだ?」

「外に出たみたいだけど、音も何も聞こえないから・・・」

 窓辺に走り寄る。

 外を見ると、手と脚の長い男が横たわっているのが見える。その横で腰に手を当てて立っているエレノアが、こちらを見上げて微笑みかけている。

「相変わらずだね。エレノア倒せるプレイヤーなんて居るのかね」

「一度戦ってみたら?サラハって、多分セシリーより全然強いよね」

「どうだろうね」

 エレノアを見下ろすサラハの表情には、何か言いようのない程の余裕を感じられる。

 ギルドに対する疑いなどではないが、何者なんだろうと、カヤの心にふと疑問が浮かび上がった。



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